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2013年11月

2013年11月11日 (月)

Hannah Arendt ”the vanality of evil” ハナ・アーレントと「悪の凡庸さ」

An excellent movie "Hannah Arendt" is showing in the Iwanami Hall, Tokyo. "The banality of evil", which is a key word of the movie has been recurrently observed in massacres and genocides of our history. We should seriously examine and question ourselves how it could create a tragedy and understand that everyone could have chance to become a murderer under sophisticated bureaucracy or tremendous peer pressure.

カンボジアやルワンダの虐殺現場に行き、そこに残された資料あるいは話を聞き、裁判の進行などをみるにつけ、これだけの悲劇がいかにも平凡な人々によって引き起こされてきたことを考えてきました。「悪の凡庸さ(the vanality of evil)」は私もカンボジアやルワンダの悲劇を授業で扱う場合の中心的なテーマにしていますが、この言葉を生み出したハンナ・アーレントとそのきっかけになったアイヒマン裁判をテーマにした映画「ハンナ・アーレント」が今岩波ホールで上映されています。普段はほとんど映画を見ないのですが、先日、空き時間がなんとかできたので見てきました。虐殺者に悪魔を見たい、多くの人々はそう考えていましたが、実際のアイヒマンは「命令だから殺した」を繰り返すだけの平凡な人間でした。「私は一人も直接手にかけていない」。これはカンボジアのポルポト法廷でイエンサリやヌオンチェアたちが繰り返している主張と同じです。アーレントが言いたかったことは、われわれのうちに悪魔がいることに向き合わなければだめだ、ということです。組織の論理や同調圧力の下でだれでも虐殺者なりうる。それを考えたくないために誰かを悪魔にして葬り去ることで問題を解決しようとすることが、その後もカンボジアで、ルワンダで、ボスニアで、ダルフールで、そして多分シリアで虐殺が繰り返されていることを招いていると思います。

大変重いテーマの映画でした。実際のアーレントはたいへんなヘビースモーカーだったらしいですが、映画でも彼女の登場する場面は8割以上タバコを吸っていました。「風立ちぬ」の喫煙シーンにクレームした人たちはどう考えるでしょうか?

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