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2010年11月22日 (月)

枯渇性資源と採掘利用する権利 The Plundered Planet

中国のレアアースの「禁輸」以来、資源が国際的な大きな関心事項となっています。領土や経済水域の中にある資源を自国に囲い込み戦略として使う動きが広がっています。自由貿易は第二次世界大戦後の平和を維持する基本的な枠組みであったわけですが、これに反して、1973年の第1次石油危機をはじめ、資源保有国が自国資源の貿易を制限することを武器とすることが行われてきており、これを防止する国際的な枠組みはありません。しかし、そもそも自国領域の資源を自由に処分できる権利がその国に認められるというのは当然のことでしょうか?

どのような財産権も制約を伴います。法学を学ぶと最初に出てくるケースが、源泉から温泉場まで引いてくる温泉の配管の設置を阻んだ「身勝手な」地主の話です。公共の福祉の立場から権利の行使が制約されることがありうるよいう国内法では確立された原理を国際的に確立することができれば、資源を保有する国に、その資源の処分に伴う責任を負担させることが可能になります。具体的には収奪的な採掘の禁止、資源収入の国際的な分配、特に、資源を保有しない貧困国への配慮、国連決議による経済制裁の場合を除く政治的な禁輸措置の禁止などです。

ポール・コリアー(Paul Collier)教授の近著「略奪される地球(The Plundered Planet)は人間による資源の収奪とそれを防止するメカニズムの問題を論じている極めて注目すべきものです。コリアー教授は、世代間の資源利用の公正について論じています。石油のような枯渇性の資源において、現在生きている人間が、現在の権利に基づいて資源を採掘、利用してしてしまってよいのかという問題です

森林などの再生可能な資源については、昔からコミュニティーの共同管理で適切な利用と再生をはかるという慣習法的なメカニズムが確立していました。国際開発の分野でのコミュニティーの再評価はこのようなメカニズムを復活させようとするものです。漁業資源の管理や気候変動、生物多様性に関する国際的な枠組みも利用と保全のバランス確保を目指したものといえます。しかし、石油のような枯渇性資源の国際的管理を目指す取り組みは本格的な議論が行われていないのが現状です。石油が枯渇していく過程では価格メカニズムを通じ、価格の高騰に対応して代替エネルギーの開発が進むという楽観的な見方もありますが、価格の急騰やそれに伴う外交政治的な混乱などの大きなインパクトは避けて通れないと思います。枯渇性資源の保全と利用について真剣に向き合うべき時期が来ています。

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コメント

資源の問題に関しては国際問題として重要かつ解決が難しい問題だと思います。国際社会になり、貿易を通じて資源の共有や提供などが可能になりましたが、反して資源を原因に国同士でもめたりすることを考えればプラスの面だけみていることはできませんね。地球に存在する資源をわたしたちがどこまで利用する権利があるのか定義することはいろんな意見があるでしょうから、まとまった一つの定義づけは出来ないのではないかとわたしは思ってしまいます。資源保護に関しても、最近は『環境にいい』とか『エコ』などとうたった製品のコマーシャルが多くなり、何が環境のためになるのか、今のままではいけないことはわかっても何をすればよいのか正直少しわからなくなったところがあります。わからない中で問題について考えることが大切なのだとは思うのですが。先生は資源について、国と国とがどう関わっていくべきかという考えはお持ちですか?

初めてコメントします。現在2セメで国際理解論をとっている者です。
資源に関する問題は今に始まったことではないが、中国が行ったタブー「禁輸」によって世界や国際では資源のことに関しては、たしかに以前より数倍関心を持つと思われる。もし、中国のように資源輸出国が禁輸をしたら、資源輸入国にとってはたまったものではないことは確かだ。そのため日本や世界各地が脱中国依存をするために様々な対策を考えている。しかし現状では、後進国や途上国の発展によって資源、特に枯渇性資源が急速に使われ、少なくなってきている。再生可能な資源に関しては、再生するまでには時間がかかるが半永久的には採取できそうだが、枯渇性の方は本当に保全や利用に関しての話し合いを国際の場でしないといけない。なぜ今まで、その類の国際会議がないのかが気になる。早急にしないと、各国が好き勝手に資源を次々と使用しかねない。中国がこの禁輸の言い訳で「制限をしただけ」といっていたが、確かに制限をすることで資源の枯渇への道が少しは緩やかになるが、国への利益などに関しては損害が出る。ここの所は、さすがに深く考えないといい答えは出てこない。なぜ他の国や地域が資源のことで話し合いをしない理由として、こういう理由がある可能性もある。
この様な問題は、ゆっくりと長い時間をかけて確実に話しあっていく必要があると思われる。

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