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2010年11月 7日 (日)

開発貢献度指標 (Commitment to Development Index)2010

2010年度の日本の開発協力の国際評価は22カ国の援助供与国の中で21位。1位はスウェーン、2位デンマーク、3位オランダ。

今年も、CDI(Commitment to Development Index)の季節がやってきました。CDIは、このブログの話題のソースとしてよくとりあげる米国のシンクタンクCenter for Global Development(CGD)が毎年とりまとめ、これもまたよく引用するForeign Plolicy(FP)誌に掲載されています。というよりも、私にとってCDGやFPと出会ったきっかけがこのCDIだったといってもいいでしょう。今年の最新バージョンがCGDのWEBサイトで閲覧できます。

もう8年近く前になりますが、2003年1月にカイロで開催された国際会議で、CDGを主宰するナンシー・バードサル(Nancy Birdsal)氏が、先進国が途上国の開発にどのように貢献しているかを指標化することを提案し,、先進国を指標でランキングした原案を提示しました。これがCDIの発端で、MDGs(ミレニアム開発目標)の8番目の項目、先進国と途上国のパートナーシップの構築に関係しています。所得や保健、教育などに関して途上国が達成すべく目標には数字で示された指標があるのに、先進国の努力に関しては何もないではないか、ということが議論の出発点でした。先進国の政策の途上国への影響については「政策の一貫性(Policy Coherence)」の考え方が取り入れられました。6月25日のこのブログの記事をご参照ください。

このとき、カイロの国際会議でバードサル氏より示された指標の原案は、OECDの開発援助委員会(DAC)に加盟している援助供与国21ヶ国(当時)を、援助、貿易、投資、移民、安全保障、環境の項目でランク付けし、さらに総合ランキングをつけたもので、日本が最下位にランクされていることから、日本の援助関係者には衝撃が走りました。同年4月にはFP誌でも記事が掲載され、このランキングは広く知られるところとなりました。日本は2003年当時、まだ90年代に世界最大の援助国だった頃の余韻が冷めやらないころで、「最下位」という衝撃的な評価は日本の援助関係者の「自己評価」と大きく食い違い、反発や無視なども含めてこの指標に対する評判は日本では散々なものでした。それ以来毎年日本は最下位の連続です。2年前に韓国が加わったことで、最下位の指定席は韓国に明け渡しましたが、最下位から2番目以上に這い上がれません。

私自身は、その後、この指標を作成した担当者かつ責任者であるCGDのロッドマン(Rodman)氏ともお話する機会がありました。確かこの指標は多くの計算上の問題があることは事実ですが、私は、日本の国際協力に関する「第三者評価」としては的を得ていると思っています。

日本が点が低い大きな理由は、CDIの最初からほぼ同じです。援助では、開発途上国へのネットの援助額に国民総所得(GNI)に占める比率の低さ(11%)です。日本の国民総所得は世界第2位(最近中国に抜かれて第3位)ですので、これを分母に援助の比率を出すと、かなり比率は小さなものにならざるを得ません。援助の項目で上位の常連はスウェーデン、オランダ、デンマークなど国民総所得で見れば小国です。ただし、英国のようにGNIが大きくてもこの比率が高い国もありますから、あまりいい言い訳にはなりません。また、日本は借款による援助が多いため、ネットの数字では、途上国から返済されてくる金額を差し引かなければなりません。中国やタイなど、これまで多額の借款を受け入れていた国々が日本の援助から「卒業」し、これらの国々からは返済だけになりますので、ネットのODA額はこれからどんどん減っていく要素が多いです。場合によってはマイナス(途上国から還ってくる金額のほうが多くなる)になるかもしれません。日本はこれから、このような「マイナスのODA」という事態にどう向き合っていくのかが課題です。また、NGOなど民間活動への減免税措置が他国に比べて見劣りしていることもマイナスに評価されています。

貿易ではコメなどの農産物の高関税や途上国の繊維製品に対する不十分な優遇措置がマイナスとして評価されています。農産物の問題では特に日本の農産物への高関税が世界的にも目立ちます。環太平洋経済連携協定(TPP)について現在議論が行われているように、国内の農業の競争力強化と市場開放は避けて通れません。日本の問題に対処が遅れればTPPや自由貿易協定(FTA)に積極的な韓国に追い抜かれ、このCDIでも早晩、韓国が日本に最下位の地を譲ることになるでしょう。移民では、途上国からの留学生の受け入れ政策は高く評価されている反面、移民労働者への制限的な政策や難民受け入れの少なさなど、日本の人的な鎖国政策が指摘されています。安全保障では武器の輸出を行っていないことについては諸国中トップの評価を得ていますが、国連PKOなどへの人的貢献では最低クラスの評価です。

CDIはこの8年間、改良が加えられてきており、日本の得点が比較的高い「科学技術」の項目が加えられたり、日本の「武器輸出3原則」が積極的に評価されたりなど、日本にとってもより「不利でない」評価に近づきつつあると思います。多くの日本人、とりわけ国際協力関係者にとって面白くない評価だと思いますが、これも外部評価の一つです。外部評価が重要な点は、そこで自己評価とのギャップに気がついくきっかけになる点です。CDIは、援助のみならずグローバル社会の中で日本抱える問題を、的確にあぶりだしていると思います。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。コメントさせていただきます。
日本は援助供与国は常に最下位という結果は自己満足であったということを教えられた結果になったと思います。それをどう受け取るかで、改善できる余地は多いにあると思うのですが、本気で支援出来ていると思っていた人々にとっては確かにショックな結果だったということは予想がつきます。現に、カンボジアやバングラデシュなどの国からは、日本は感謝されている、親日国である。ということも知っているので完全にダメだったといことではないと思います。それこそ、彼らにとって何が有難いと思ってもらえたかを知っておく必要もあるのではないでしょうか。(ただ感謝ということではなく。)
特に、日本の難民受け入れに関しては厳しいと感じています。それは島国だからなのかもしれないですが、もっと規制を緩めるべきではないだでしょうか。それは、とある人の未来を生み出すと思いますし、むしろ彼らが新たな明るい日本の未来を作る可能性が大いにあると思うからです。それに国民最初は抵抗があかもしれませんが、それはきっと時間と社会の中で難民と過ごすことで変わってゆくと考えます。とにかく、この結果はむしろこれからなの日本を変えられる可能性もある悪い結果ではないように捉えています。捉え方で、これからいくらでも変えられると思うからです。

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