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2010年6月13日 (日)

夕張に日本そして世界の将来を見る(2) 財政破綻の本質

Sdsc_0035 写真の壮大な建物は夕張市役所です。人口1万人あまりの自治体としてはあまりにも巨大ですが、もちろんこれは人口が減ってしまった結果です。以下は夕張市が作成した「夕張市の概況(平成19年)」に拠ります。

夕張市は夕張川の谷間にあって農業には適していませんが、農産物としては1960年代からメロンの栽培がはじまり、全国的にも有名になって、現在では夕張市の農業生産額の95%を占めています。しかし、基本的には明治以降の炭鉱開発で発展してきた町です。1970年代、石炭が斜陽化する中で産炭地振興臨時措置法などによる補助を受けながら、「石炭から観光」へと開発の方向性を大きく変更しました。観光施設としてはスキー場、遊園地、石炭のテーマパークなどが建設されました。工業団地開発なども手がけましたが成功しなかったようです。

これらの観光施設は産炭地振興法などの補助があったこともあり、投資が過大になる傾向があったことと、閉山に伴う就業問題を解決するために雇用創出も重視したものであったことが、「赤字体質」を生んでいくことになります。そのような観光施設の一つが「石炭の歴史村」です。このテーマパークの中心は石炭博物館で、石炭産業がどのようなものであったをわかりやすく展示してあります。

Sdsc_0046_2 石炭博物館は産業遺産を扱った博物館としてはきわめてユニークなもので、炭鉱の技術的側面だけではなく、炭鉱で働いていた人々の生活もテーマとしています。1981年に起こった北炭夕張新鉱のガス突出事故(後述)についても大きなスペースが割かれています。しかし、私が行ったときは、平日ということもありましたが、訪問者はまばらでした。入場料は1300円もします。この施設は、当初夕張市の第3セクターで運営されていましたが、それが自己破産したあと、夕張市の直営を経て、現在は指定管理者方式で民間会社が管理を受託しています。しかし、経営は苦しいようで、安定的な経営には至っていません。SL(蒸気機関車)の展示もあったようですが、指定返上がなされて、現在では参観できません。1980年に開設されたこの石炭の歴史村への訪問者はピークの1995年には52万人を数えましたが、2006年には22万人に減少しています。夕張市への観光客も1995年の231万人から2006年には116万人と半減しています。

夕張市の財政破綻はこのようなハコモノ投資が一因です。これに、不適切な会計処理が加わりました。年度の変わり目の調整期間に、翌年度から前年度に貸し付けを行うような操作を行い、実際には民間銀行から借り入れを行っていました。また、起債の規制を回避するために「空知産炭地域総合発展基金」から借り入れを行うなど、粉飾といっても過言ではない操作によって「赤字隠し」が行われたのです。粉飾で赤字を小さく見せるところは、現在問題になっているギリシャに通じるところがあります。それが明るみに出て、公務員の削減のみならず住民にとって痛みを伴う調整を行わなければならないことも同様です(ギリシャの場合はこれからですが)。

いずれにしても歳入規模が10億円しかなく、人口規模から行っても約40億円が標準的な財政規模とされる自治体で、再建計画の開始時点では353億円の解消すべき累積赤字が特定されました。これを2006年を基準として2024年までに解消する再建計画がスタートしましたが、前途は多難です。まず、市の職員は2006年の309人から2009年には147人と半減以下になり、さらに賃金カットです。市税や施設料金の学校の統廃合、その他住民サービスの削減が余儀なくされています。市内にはいたることろに廃校になった小中学校が残されています。

夕張市の破綻を採算予測の甘いハコモノ投資、放漫財政、粉飾操作などと片付けるのは容易です。しかしまず、それをとりまく「仕組み」に問題がなかったどうかを再検証すべきでしょう。それは以下のような点です。

(1)産炭地振興臨時措置法の補助それ自体に「ハコモノ」投資を促進するようなメカニズムが埋め込まれていたのではないか。つまり、「形で検証できる」施設の建設が先行されたのではないかということです。同じような話は3年前、沖縄でも聞きました。基地対策等の補助が結局はハコモノ建設につながっているというのです。ODAの国際協力プロジェクトでも同じような問題があります。経常経費部分を支援対象とすることができないので、どうしても固定資本の形成に投資が向かってしまうのではないか。例えば、教育プロジェクトでも、教員の給料や日常的に使う教材への支援が困難であるところから、校舎などの設備に重点が置かれてしまうという問題です。

(2)なぜ、このような「危ない」自治体に民間銀行が貸付を行ったのか。これについてはBISの自己資本比率規制との関係を指摘する意見もあります。地方政府が起債できないために参加の公企業を通じて借金を行ったケースは1997年の中国でありました。中国の場合には、「企業は企業、地方政府は地方政府、地方政府は何も保証していない」で逃げ切ってしまったのですが・・・いずれにしても「政府」の信用をどう評価するかは難しいです。

(3)石炭政策は中央政府(通産省)が決め、大企業がそれを担ったのですが、リスクや費用の負担を自治体が押し付けられた緬があったのではないか。おそらくこれが最も大きな問題ではないかと思います。次回はこの問題についてじっくり考えてみたいと思います。

(続く)

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コメント

新聞などのバガゴミは(世間ではマスゴミ)などというがごみに対して失礼)観光投資で失敗をしたという事が定説となっています

しかし実際には鉱山のj閉山処理で施設などを買ったためです

なんと閉山処理に583億円ものお金が使われています、

市の負担は398億円にも上っています

観光事業よりも閉山処理でつぶされたというのが実情なのです、

バカゴミは夕張に責任を多い下部させれるために観光出財政破綻をしたという事にしました、

日本のエネルギー政策の失敗で財政破綻をしたのです

きりん321さん、コメントありがとうございます。この次の記事で書いてありますが、本来中央政府の政策で進められてきたもののしりぬぐいは中央政府レベルで行うべきです。それが、かなりの部分、事実上自治体に押し付けられたというのが事実だと思います。

事実上、夕張市民が住民がその負担により迷惑が生じている事を何より日本国民として理解して頂いて貰いたく存知ます!人口も減っていく一方で、解決するにも民間の銀行の貸し付けについては前市長である中田さんと元石炭企業による責任であり、特に元石炭企業「名前は伏せておきますが」の後片付けといに対し負担額が重なってこういう結果を招いた事を企業が少なくても責任でを取って頂く事を政府も理解して欲しいとおもいます、今後の発展につきましては、国民皆様に夕張という素晴らしい自然を活用の場としそれぞれのアイデアなり土地を安く貸し付けてあげ農業なり工場用に利用してもらうなり国民全員が夕張という町に利用土地として目を向けて貰い日本の中の夕張ではなく夕張と言う日本をネーミングにかけて先ずは人口を増やす事を念に押し今現在問題史されている就職難を夕張で解決するにも良し、更には問題にされている米軍普天間飛行場を夕張に移転させる程の勇気と努力を再検証してみてはどうかと思います、少なからず国民全員が夕張と言う町に目を向けてくれると私ながらの考えです、子供の頃から成年になるまで夕張市民としてお世話になりましたので、心配者の1人として更にはワタシ自身も何か贈り物を持ち帰ってみる覚悟です、大変長々と書き込み致した事をお詫び申し上げます、頑張れ夕張!

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