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2010年6月12日 (土)

夕張に日本そして世界の将来を見る(1)

6月5日と6日に国際開発学会の春季大会が北海道大学で開催されました。パラレル・セッションのチェアを担当したり、共通論題セッションで「大胆な」問題提起をしたりと、充実した二日間でした。その問題提起ですが、一言で言えば、『今後、全世界的な「下降局面(down turn)」が避けられなくなる事態がかなりの確率でありうるので、そのような事態に備えて、"development"( 開発・発展)の反対概念について議論を深めておこう』という若干挑戦的なものでした。

ブログでもこの問題を議論したいと思います。ただ、その前に、学会の翌日の7日に夕張に行ってそこで考えたことをお話ししたいと思います。論点としてはに直接関係します。

夕張には36年前の1974年に行ったことがあります。まだ学生の頃で、当時の「カニ族」、いまでいうバックカーの北海道旅行でした。夕張には当時まだ北炭(北海道炭鉱汽船)や三菱などの炭鉱で採炭が行われ、石炭輸送には当時すでに珍しくなっていた蒸気機関車が活躍していました。石炭産業は1960年代をピークに石油への転換や輸入炭とのとの競争に押され、「スクラップ・アンド・ビルド」と言われる通産省(現経産省)の政策によって閉山が相次いでいましたが、「ビルド」として最新技術による新規開発も行われていました。      Sdsc_0020                  

 今回、 札幌でレンタカーを借りて、かっての石炭列車が走った旧夕張鉄道(北炭の系列会社)の跡をなぞるように夕張市街に入りました。まず、訪れたのは、かって石炭輸送の基地だった鹿ノ谷駅です。活気にあふれていた構内は、線路が一本だけとなり、人影もありません。石炭列車が発車待ちをしていた場所は、深く雑草に覆われていますいます。

駅前にもかっては賑わっていて、街並みにその面影をみることはできますが、やはり閑散としています。一日数本の列車が来るだけの駅前ではにぎやかになりようがありません。

Sdsc_0032 夕張市は現在は1万3千人ほどの人口で全国でももっとも人口が少ない「市」の一つです。しかし、かって石炭産業が最盛期だった1960年代には12万人近い人口がありました。

夕張が全国的に注目されるようになったのは2006年に財政破綻が大きく報じられ、2007年に再建団体に転落したことによるものです。これは、全国的に地方経済の衰退と地方財政の難しさを象徴する出来事と受け止められ、「明日は我が身」という感覚を呼び覚ましました。

この夕張市の出来事に、(1)産業の消長、(2)雇用の確保と公的部門、(3)人口の高齢化と財政、(4)地域開発計画の実行とそのリスク、(5)国家の産業政策と企業、地域などさまざまな論点が含まれています。その意味で、日本全体のみならず、途上国の開発を考える上でも、貴重な示唆やレッスンが含まれています。これらについて、あと2回ほど連載していきたいと思います。

(続く)

  

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コメント

私はアフリカ研究Dの授業を取っています。よく授業のなかで「開発」という言葉がでできます。そのなかで、アフリカを日本が支援する活動をしていると聞きました。

 私は日本で「開発」というと、ビルなどの都市開発とかが思い出されます。しかし、このブログを見て、日本の夕張を例にとると日本でもアフリカのように同じ「開発」が必要なところがあること知り、アフリカの支援だけではなく、地方の経済も考え見ることも大切だと思いました。

地方経済は私たちの身近にある問題で、地方を活性化することは日本にとっても大切なことだと思いました。

yukka さん

コメントありがとうございます。「開発」というのはdevelopmentの訳語ですが、「発展」という訳語もあります。「開発」が外から力を加えて伸びさせるのだとすれば「発展」は内側から伸びようとする動きです。うまく外から情報や機会を提供して、地元が自ら伸びていくようにすることが重要で、これは途上国の場合も日本の地方の場合も同じだと思います。

もし、日本が地方開発に成功して、その経験を外国に伝えられるように整理できれば、それが世界にたいする日本の大きな貢献になると思います。

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