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2010年5月26日 (水)

朝鮮半島:緊張の最前線

朝鮮半島の緊張が高まっています。北朝鮮は最もわかりにくい国の一つです。これまでも理解が困難な挑発行動や「戦争」「火の海」過剰なレトリックに周辺国のみならず世界中が振り回されてきました。東アジアにおいては冷戦状況が依然として続いているというのが残念ながら現実です。

さて、もう22年前の1988年ですが、南北対立の正面ともいえる板門店に行く機会がありました。古い話で今は少し変わっているかもしれませんが、緊張感が少しでも伝われば幸いです。

板門店訪問は外国人に限られていました。韓国の人は参加できなかったのですが、理由はよくわかりません。韓国から来た留学生に聞きましたが、北朝鮮域内の開城工業団地に多くの韓国人が赴くようになった現在でもそのようです。まずツアー参加前に服装の注意を受けました。粗末な服装やジーンズは禁止でした。北側に「資本主義世界の生活レベルは低い」という宣伝材料を提供しないようにするという説明ですが、なぜジーンズが禁止かはよく理解できませんでした。また、北朝鮮の兵士に笑顔を見せてはいけないともいわれました。これも宣伝材料に使われないようにするためという説明でした。さらに、写真撮影の注意と、「遠くを見て指さしてはいけない」という指示がありました。ピストルを構えていると誤認される恐れがあるということでしたが、これはよくわかります。

板門店に到着するとまず国連軍の基地に入ります。拒否権を持つソ連がたまたま中国の代表権問題で欠席していたために成立した国連軍です。l国連軍の主体はもちろん米軍です。基地では「訪問中に戦闘が始まった場合、安全は保証しない」という誓約書にサインをします。戦争が終わっているのではなく「休戦中」でさまざまな休戦協定違反行為を双方が非難の応酬をしている状況では当然です。

S88pmj008_4 板門店全体は休戦協定の協議を行う場です。南側から域内に入って、眺望がきく楼閣の上から撮影したのがまず一枚目の写真です。板門店の「定番写真」です。休戦協定の協議を行う建物が3棟ならんでいます。真ん中のものがメインの会議場です。正面の奥の建物は北朝鮮側のものです。建築様式など一見して1960~70年代の「中国式」です。その建物の脇には北朝鮮の兵士の姿が見えます。終始動かず、無表情でした。

会議場の中は二枚目の写真です(画像処理してあります)。中央にテーブルがあって、マイクのコードが南北の境界を示します。このテーブルのまわりを一周できますから、北朝鮮領内に一瞬ですが入ることができたわけです。

S88pmj010m このテーブルに南北が対峙して、双方の休戦協定違反行為を非難する会議が行われているのです。このような協議で言葉の応酬が繰り返され、北朝鮮側が「ソウルを火の海にする」と言ったというようなニュースが世界に流れます。テーブルの上の旗は、かって、双方が大きさの競争を行って天井に届いてしまったというようなことがあったようで、その後「休戦協定」が結ばれたという説明を受けました。このような張り合いは、例えば板門店から見える場所に大きな塔を建てたり、スピーカーで大音響の宣伝放送をするなど、さまざまな面で見られました。

この写真を撮影したのは1988年で、そのあとベルリンの壁の崩壊、ソ連の解体と共産圏の消滅など「冷戦の終結」と言われる世界史的な動きがありました。しかし、朝鮮半島の情勢は基本的に変わっていません。北朝鮮にレバレッジ(梃子)をもっているのは今でも中国です、中国の役割は重要です。

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コメント


まず始めに、韓国艦爆発沈没問題についてのコメントではなくてすみません。


私自身、地域研究(アフリカ)を受けててアフリカについて関心が高まっている中で、エチオピアなどのアフリカの飢餓を考えるときに、いつも考えることがあります。
それについて、ちょっとコメントです。長くなってしまったらすみません。


アフリカといえば、まず私の中に浮かぶイメージはやはり飢餓です。
幼い子どもが栄養失調で命をおとす悲しい現実がある中で、この一番の理由は一体何なのか?と考えます。

栄養失調の主な原因は母親の母乳がでない、または出なくなることにあると思います。食べものも栄養になるけれど、赤ちゃんや幼い子どもにとっての一番の栄養素はやっぱり母親の母乳だと思います。
そこで考えるのは、母親の母乳がでなくなる原因です。それは母親の栄養失調にあるのはわかりますが、更に栄養失調の原因を考えてみると、食料を買えないことが原因ということが分かります。(もちれんそれだけの理由に限らないと思いますが…事実、かつては国土面積の約35%が森林であったといわれていますが、不適切な土地利用や過度の森林伐採、人口増加などにより、人口林等を含めた森林は、国土面積の11%程度まで減少してきているので、これにより農村が悪化し食べものが作れないという事実も含まれると思います。)

では、なぜ買えないのか?を考えたときに、干ばつで食料価格が値上がりしたことがそもそもの原因だと私は考えました。貧しい農家の家庭は食料を買えなくなるのも当然だと思います。それは豊かな日本にいても、起こりえることです。だから価格が上昇したことは主に干ばつに原因があるわけで、じゃあ干ばつを止めればいいじゃないか!と考えるけれど、干ばつに関しては、これはどうしようもないと思うんです。私はどうしても自然の猛威だけは、誰もが悪くないと思ってしまいます。自然はお金でも人間の力でもどうしようもないじゃないですか…バングラデシュの洪水や中国やハイチで起きた大地震、人間の手では止められるものじゃないと思うんです。(被害を防ぐことは可能かもしれませんが)

海に面していたり、ナイジェリアのように石油が出たり、ザイールのように宝石が出ればまだ話は別かもしれませんが、そうではない砂漠地帯の内陸の国々が裕福な生活になるのは厳しいものがあると思います。輸入に頼るのはもちろん良いと思いますが、国というよりかは大陸自体が良い方向に発展していくのがベストですよね。砂漠化を止めるなんてのも容易なことではないと思うし、飢餓を全部なくそうというのも容易なことではないと思うので。なので、自然が起こす災害ではなく、もっと違った分野で飢餓を防げる(無くす)道があるのではないかといつも思います。それにもさまざまな意見があると思いますが、災害は止めることはできないと思うので干ばつを防ぐ、ではなく、違った分野・視点での改善に向かうプロジェクトを学びたいです。たくさんあると思いますが、もしよかったら教えてほしいです。

それと国際協力を考えるときにいつも心に思うことがあります。それは、可能性がゼロじゃない限り、それは希望だと思います。容易なことではないけれど、不可能ではないはずですよね。

私が思う、信じている「平和」は争いのない世界ではないです。

私が信じている平和は、「誰もが食べ物に困らないで生きれる世界」です。

だから私はその可能性を信じて、飢餓の終わりに貢献できる優良な人材になるために、アフリカに足を運びたいです。
カンボジアやバングラデシュでは井戸をひとつ掘って200人の命が救われるとネットや広告で見ました。もし、その井戸を掘ることで200人の命が救われるなら、私はそれ以上の人の命をこれから先救っていくために、アフリカに行きたいです。

でも現時点の情勢を考えると、やっぱり危険ですかね?
もちろん今すぐというわけではないし、ある程度知識を付けてから行きたいのですが、今度相談乗って下さい、よろしくお願いします。

長くなってしまって、すみません。これからもアフリカの現状を(授業を)、よろしくお願いします。

先日ニュース番組で板門店をみました。
記事にもあるようマイクコードで南北の境界線が敷かれていました。
取材にも関わらず、少しでも奥へ(北朝鮮領域)進むと兵士が無言で体を動かし動きを止めました。
もちろん顔も無表情でサングラスをかけていたので余計に怖かったです。
記事と並行してニュースを見て、学んで、少しでも勉強していけたらなと思います。
今回は報告というか感想になってしまいましたが、いずれ自分の考えや意見も書けるよう知識を培っていきたいです。

asdfさん

コメントありがとうございます。

無表情というには不気味ですね。たぶん、表情で感情の変化を示さないように訓練を受けていると思います。

こういう兵士が泣いたり、笑ったりするようになれば、一気に氷が解けたように暖かな雰囲気になるちお思います。

mvmvさん コメントありがとうございます。

貴重なご指摘あるので、ポイントを順次議論していきたいと思いますが、さしあたり、アマルティア・セン教授の「貧困と飢餓」における議論が参考になると思います。

飢饉が発生しても、それが直ちに飢餓につながるわけではありません。政府がいち早く、飢饉の情報をキャッチして、公共政策としてさまざまな対策を講じれば対処できるのです。ただ、情報、意思決定、食糧のシステムなどが十分に機能していることは必要です。

もし、対処できなかった場合には、政府は責任を問われる、というアカウンタビリティがあれば、飢饉が飢餓につながることはないと思います。

これから考えると、「民主主義」が飢餓を防ぐ最大の要素だということにまります。事実、アフリカなどで飢餓が消費ているところはどこも、内戦や紛争を抱えています。

つつきは、また追って議論しましょう。

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