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2010年5月21日 (金)

Cash on Delivery (COD) は開発協力の革命になるか?

Cash on Delivery (COD)という新しい援助方式に関心が集まり始めています。

在来型のプロジェクト援助は、プロジェクトの内容と目標を決めて、援助供与側(ドナー)が資金を提供し、地上国側が事業を実施するという形態が代表的でした。しかし、このような個別的方法は、例えば、教育や保健衛生など、国全体で目標を決め成果を実現する必要がある場合には適しているとは言えません。そこで、分野全体を対象に、その政策目標の実現を支援する「セクター・ワイド・アプローチ」あるいは国全体の政策や制度の改善を目指す「財政支援」が10年くらい前から援助の改革の切り札とされ、拡大してきました。

Cash on Delivery (COD)方式の援助とはこれらとは全く逆の発想です。在来のプロジェクト援助や財政支援が事前に決め事後的にそれが達成されたかどうかをチェックする方式であるのに対し、まずドナー側と途上国側で目標について合意して、途上国側がそれを達成したことを確認してから資金を提供するというものです。たとえば、教育プロジェクトでは途上国のある地域で子供たちの成績向上を目標として、途上国側が改善の努力を行い、目標が達成できたかどうかを確認してから、資金の支出を行うというものです。目標の達成に対する報償という位置づけで資金を提供しますから、資金の使途についての制限は緩くなります。

これは、究極の成果重視の援助方式と言えるでしょう。これを提唱しているのは援助問題をメインのテーマとする米国のシンクタンク Center for Global Development (CGD) です。最近NYタイムズのコラムでも取り上げらて一般にも知られるようになってきています。英国で先日政権に返り咲いた保守党の国際開発政策のマニフェストの中でも触れられています。

この方式は、成果の実現、アカウンタビリティーの向上、途上国へのインセンティブによるオーナーシップの向上など、さまざまなメリットが考えられています。一方で、問題として、成果達成評価の客観性をどう担保するか、途上国が最初に事業に着手するときの資金(立ちあがり資金)をどう確保するか、成果が達成できなかった時のドナー側、途上国側双方のリスクの管理など難しい問題があることも事実です。

このうち、成果達成の評価は第三者的な監査機関などの客観的な評価で行うことが提唱されています。途上国の監査機関が行う場合には、どの程度政治的な中立性が担保されているかがカギになるでしょう。立ちあがり資金については、つなぎ融資を活用する方法が考えられます。日本のJICAのように無償援助、有償援助の二つのスキームをもっている場合には、目標達成を条件に有償援助から無償援助へスイッチする方式も考えられます。

一番難しのは成果不達成の場合です。そのような場合には、単に当事者の努力不足だけではなく、経済状況、政治状況の変化などのさまざまな外部条件が影響していることが大きいと思いますので、これをそのように取り扱うかが難問です。二国間援助の場合には、両国間の政治的な緊張を招いてしまう可能性もあります。

このように、期待される効果も課題も多い方式ですが、今後、この新しい援助方式がどのように発展していくか、フォローしながら逐次ご報告いたしたいと思います。

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